定年退職までに決めるべき手続き6選

ニューヨーク、グランドセントラル駅上部彫像とメットライフビル、2017年撮影

どーも!タツマルです🐲

私はつい先ごろ60歳で退職して、定年FIRE(FIRA60)を実践する、そこいらのオッサンです。

定年退職するときって実は、自分で決めなきゃいけない事柄が結構あるんです。

それまでほとんど考えたこともなかった健康保険とか年金、退職金、税金などについて、どのように手続きするか決めなければなりません。

「早いとこどうするか決めてちょーだい!」と会社(人事)や役所からせっつかれて、あたふたする人も意外に多いのではないでしょうか?

ついては定年退職に伴い、決めなければならないこと、やらなければならないこと、それにどう対応したか?について、私の実体験をお話しします。

目次

定年退職までに決めるべき手続き6選

定年退職に伴って決めなければならない手続きは、主に次の6つです。

  1. 健康保険・介護保険をどうするか?(どれに加入する?)
  2. 退職金をどう受け取るか?(一時金?年金?)
  3. 公的年金をどうするか?(いつ受け取る?任意加入する?)
  4. 失業保険をどうするか?
  5. 住民税をどうするか?
  6. 所得税 確定申告をどうするか?

退職日を迎えるまでに、これら6つの項目についてどう対応するか決定し、速やかに手続きを進めなければなりません。

いずれも一朝一夕には決められないので、遅くとも定年の半年ぐらい前から検討を始め、退職日の1ヵ月前には対応を決めておく必要があります。

会社(人事)は踏み込んだ説明をしてくれない

これら手続きについては、会社(人事)からひととおりの説明を受けるとは思います。でもたいていは一般論に終始し、本当に必要な説明はなされません。

その理由は、次の通りです。

  • 退職者一人ひとり事情が異なるため、個別事情に応じた説明は困難
  • 説明者(人事担当)の税金や社会保険等に対する知識・経験が乏しい場合、十分な説明ができない
  • 踏み込んだ説明をしたあげく、理解不十分による行き違いが生じてトラブルになるリスクを回避したい

こういった事情により、そもそも会社(人事)は退職者に対して踏み込んだ説明をすることを嫌がる傾向があります。ゆえに通り一遍の説明しか受けられないわけです。

ならば、それぞれの手続きへどう対応するのが自分にとって望ましいのか? それを自分で調べて考えて、自分で決めなければなりません。

ついては、人事労務の実務経験があり、かつ社労士資格を有する私自身が、「こう考えてこう決めた!」という内容をご紹介します。

かなり踏み込んで詳細に記述しますので、その内容がやがて定年を迎える方の参考になれば、嬉しく思います😊

健康保険・介護保険をどうするか?(どれに加入する?)

事実上の選択肢は任意継続か国民健康保険

退職に伴い、それまで勤務先で加入していた健康保険から脱退することになります。よって、何らかの公的医療保険に加入しなければなりません。

定年退職の場合、事実上の選択肢は「勤務先の健康保険に任意継続する(任継)」か「国民健康保険に加入する(国保)」のいずれかとなるでしょう。私もこのふたつから選択しました。

選択の基準となるのは負担と給付、つまり「どちらの保険料が安いか?」そして「どちらの給付が手厚いか?」という観点です。

さて、任継と国保、どちらを選択すべきでしょうか?

結論:退職直後は任意継続を選択

私自身は、退職直後は「任意継続」、つまり勤務先の健康保険に継続加入しました。

理由はもちろん、任継の方が国保よりも保険料が圧倒的に安いからです。なんと初年度の保険料は、任継が国保の3分の1です(任継4.5万円/月・国保13.2万円/月)。また保険給付についても任継の方が有利です。

なお、任意継続できる期間は最長2年ですので、3年目からは国民健康保険に加入することになります。また2年を待たずにいつでも任継から国保に切り替えることもできます。

私の場合、退職後1年8ヵ月は任継の方が国保よりも保険料が安くなるのですが、それ以降は逆転します。よって1年9ヵ月目に任継から国保へ切り替える予定です。

詳しくは以下の記事で、任継と国保の比較をご紹介します。

退職金をどう受け取るか?(一時金?年金?)

一時金・年金併用型の退職金制度は難しい選択を迫られる

退職金制度は会社によってさまざまです。多くの会社は退職一時金制度だと思いますが、中には一時金か年金を選択する制度も少なくないと思います。

厚労省の調べによると、大企業(企業規模1000人以上)においては、ほぼ半数の企業が一時金・年金を併用する退職金制度です。

この「一時金・年金併用型」の会社に勤務する場合、通常は定年時に退職金の受け取り方(一時金or年金)を選ぶ必要があります。私自身もこの選択を迫られました。

退職金は一時金と年金の受け取り方次第で手取り額が大きく変動します。正直なところ、税金や社会保険の知見を総動員しなければ適切な選択はできない、と思います。

さて私自身は、どのような受給方法を選択したのでしょうか?

結論:確定給付年金(DB)は年金・確定拠出年金(DC)は一時金で受給

私の定年退職(2024年7月末)時点での退職金額、そして私が選択した受け取り方は下表のとおりです。

退職金の
種類・金額
私が選択した受け取り方
退職一時金
881万円
受け取り方の選択肢なし。退職翌月に一括で受給済み
確定給付企業年金(DB)
2681万円
全額を年金として60歳から10年かけて受け取る
企業型確定拠出年金(DC)
2121万円
いったんiDeCo(個人型確定拠出年金)に移換し、退職後も掛金の拠出を継続し、拠出完了時(63歳頃)に全額一時金で受け取る

表の通り、私の勤務先には3種類の退職金制度があり、それぞれに適した受給方法を選択しました。

ちなみにDBとDCは、いずれも「一時金」または「年金」で受け取ることができます。また、「一部を一時金、残りを年金」という受け取り方も可能です。年金の場合、受給期間を選択できます(5年~20年)。

このように選択肢が多岐にわたるため、税金や公的年金を考慮しつつ、自分にとってどの受給方法がベストかを、十分に吟味する必要があります。

私自身は詳細に検討した結果、上表の通りDBはすべて年金(10年)、DCはiDeCoに移した後すべて一時金で受け取ることにしました。

その理由はもちろん、税負担をできるだけ減らし、手取り額を増やすためです。

以下の記事で詳細を具体的にお伝えします。

公的年金をどうするか?(いつ受け取る?任意加入する?)

60歳到達後の公的年金に関する2つの重要な観点

60歳で定年退職した後、公的年金をどうするか?については、次のふたつの観点があります。

  • 公的年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を何歳から受給するか?
  • 国民年金に任意加入するか?

いずれも60歳までに方針を決めておくべき、極めて重要なテーマといえます。

まずは公的年金の受給開始年齢についてです。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は65歳からの受給が原則ですが、60歳から75歳までの間で受給開始年齢を選択できます。ですが厚労省の調べによると、ほとんどの受給権者が65歳から受給しているようです。

実際に65歳からが良いのか、それとも60~64歳からに繰上げ、もしくは66~75歳からに繰り下げて受給するのが良いのか?について、私のケースで検討します。

続いて国民年金の任意加入についてです。

国民年金は、20歳から60歳までの40年にわたり保険料納付することで、老齢基礎年金を満額(年81.6万円 令和6年度)受給できます。もしも加入期間が40年に満たない場合は、60~65歳の間に任意加入して、40年に達するまで保険料納付できます。

私は学生時代(20歳~22歳)国民年金に加入していませんでしたので、加入期間が40年に満たない状態です。ならば任意加入すべきでしょうか?

結論:公的年金受給開始を70歳まで繰下げる、国民年金に任意加入する

60歳到達後の公的年金について、私は次の通り対応します。

  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金のいずれも受給開始を70歳まで繰り下げ
  • 国民年金に任意加入して40年に達するまで保険料を納付する

公的年金に対しては不信感を覚える向きも少なくないかもしれません。しかしながらそうは言っても、老後生活の支えとなるのはやはり、公的年金に他なりません。なにしろ終身年金として生涯支給されますので。

よって私自身は、公的な老齢年金をできるだけ多く受け取るべく、受給開始を一定期間繰下げ、国民年金に任意加入して可能な限り保険料を納付するつもりです。

詳しくは、以下の記事で詳細をお伝えしますので、ぜひご一読ください。

失業保険をどうするか?

定年退職でも失業給付は受給できる?

失業保険というと、「現役世代の人が不本意に職を失ったときに、再就職するまでの生活保障給付として受けとる」というイメージがあります。

でも実際は、自己都合退職や定年退職でも失業給付を受給することは可能です。

では定年後の失業保険はどうするべきでしょう?

結論:退職後速やかにハローワークで受給手続き

結論としては、定年退職後に離職票が手元に届いたら、速やかにハローワークへ出向き、失業給付の受給手続きをする、というものです。

私の場合、失業給付(基本手当)の受給総額は111万円となります(基本手当日額7,420円×所定給付日数150日)。

この金額を、4週ごとに4週分(基本手当日額の28日分)約20万円ずつ、5ヵ月(150日)かけて受給します。

この失業給付は金額にかかわらず全額非課税で受け取れます。

定年退職で無職になった身には貴重な収入源ですので、取りこぼすわけにはいきません。よって粛々と受給手続きを進める意向です。

なお、失業給付の受給については、以下の記事で詳細をご紹介します。

定年退職後の失業保険どうする?

住民税をどうするか?

退職後に多額の住民税を請求されてビックリ!

「定年退職後に多額の住民税を請求されてビックリした~😱」という話、わりとよく耳にしますよね?

なぜそんなことが起きるかというと、リアルタイムで徴収される所得税と異なり、住民税は確定税額を後払いで納付するからなんです。

具体的には、年間(1~12月)の所得にかかる住民税を、翌年の6月からほぼ1年かけて納付する、という、「超のんびり型の後払いシステム」なんです。ゆえに、すっかり忘れた頃に多額の住民税を「払えー!」と言われるわけです。

結論:住民税の仕組みを理解し備える

これに対応するには、住民税の仕組みを理解し、いつ頃・いくらぐらい請求されるのかを予測し、その金額を準備しておくほかありません。

将来請求される住民税額を予測するには、以下の理解が必要です。

  • 退職する月によって、住民税の負担がどう違うか?
  • 未請求(金額未定)の住民税の金額をどのように見積もるか?

定年退職により収入が激減した後、忘れた頃に多額の納付を求められる鬼のような住民税・・。その内容を理解し、備えておかないと厳しい状況に陥るかもしれません。

ついては、来たるべき住民税の高額請求にどのように備えるか?について、以下の記事で詳細を記載します。

定年退職後の住民税どうする?

所得税 確定申告をどうするか?

確定申告しないと損するってホント?

在職中は会社が税金を給与天引きして納付し、年末調整で年税額の確定までしてくれました。でも退職すると、そのあたりの手続きは全部、自分でやらなければなりません。

退職日が12月末なら会社で年末調整してもらえますが、そうでなければ自分で確定申告する必要があります。

めんどくさいからといって確定申告を怠ると、大損するかもしれません。なぜなら退職した年の確定申告は、多額の税金が還付される可能性があるからです。

結論1:確定申告するだけで多額の還付!

ちなみに私の場合は、確定申告するだけでなんと!56万円もの所得税還付が見込まれます。なぜこんなに戻ってくるのでしょうか?

それはざっくり言うと、給与から所得税を多めに源泉徴収しているため、年の途中で退職してそれ以降収入がなくなると年税額が少なくなり、源泉徴収額との乖離が大きくなるから、なんです。

なので、定年退職した年の確定申告はマストです。なにしろ確定申告しなければ1円も戻ってきませんので。

結論2:所得控除を極限まで増やし、貪欲に税金を取り戻す!

普通に確定申告するだけで上記の通り多額の還付を受けられるわけですが、これだけでは面白くありません。

現役時代の最後、まだ比較的年収が高い年なので、可能な限り貪欲に税金を取り戻したいところです。

そのための作戦は次の4つです。

  1. 任意継続の健康保険料を年内に可能な限り前納する
  2. 任意加入した国民年金の保険料を年内に可能な限り前納する
  3. iDeCoに加入して掛金を年内に最大限拠出する
  4. 必要な医療(歯科、眼科等)を年内に受診する

いずれも所得控除(課税対象額から差し引かれる金額)を極限まで増やし、税金を思いっきり減らしちゃおうぜ!😉という作戦です。

これによる節税効果は私の場合、所得税と住民税を合わせてなんと!57万円にも上ります!

つまり確定申告をするだけで所得税56万円の還付、さらに貪欲に所得控除を増やすことで所得税+住民税合わせて57万円の節税。

合計でなんと113万円もの税金を取り戻そう、という作戦です。

詳しくは、次の記事に記載していますのでぜひご一読ください!

1/13公開予定
「定年退職後の所得税 確定申告どうする?」

まとめ

定年退職に伴い決めておくべき手続きは次の6点

  1. 健康保険・介護保険をどうするか?(どれに加入する?)
    →退職後しばらくは、保険料の安い「任意継続」に加入
  2. 退職金をどう受け取るか?(一時金?年金?)
    →DBは全額60歳から10年年金・DCは一旦iDeCoに移換後、全額一時金
  3. 公的年金をどうするか?(いつ受け取る?任意加入する?)
    →公的年金は70歳まで受給開始を繰下げ、国民年金に任意加入
  4. 失業保険をどうするか?
    →退職後速やかに失業給付(150日・111万円)を非課税で受給
  5. 住民税をどうするか?
    →退職後に請求される住民税の金額と納付時期を予測して準備
  6. 所得税 確定申告をどうするか?
    →退職時の確定申告はマスト。所得控除を極限まで積み上げて貪欲に節税

それぞれの詳細については次回以降の記事でご紹介します!

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