定年退職後の公的年金どうする?②(国民年金へ任意加入するべきか?)

ニューヨーク、セントラルパークから臨むザ・サンレモ

どーも!タツマル🐲です。

前回は、「公的年金どうする?①(何歳から受給するか?)」について書きました。結論として私は、基礎年金と厚生年金のいずれも70歳まで繰下げて受給する、というものです。

今回は、国民年金へ任意加入するべきか?について、私の考えとプランをご紹介します。

先に結論をお伝えしますと、もちろん私は加入可能な全期間、国民年金へ任意加入します!

目次

国民年金の任意加入とは?

「そもそも国民年金の任意加入って何それ?」というところからご説明します。

ご承知の通り、日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金保険のふたつです。

会社員の場合、厚生年金の被保険者であると同時に、国民年金の第2号被保険者となります。つまり会社員は国民年金と厚生年金の両制度に同時加入するわけです。

そして将来、老齢年金を受給する際には、国民年金から老齢基礎年金、厚生年金から老齢厚生年金を、同時に受け取ります。つまり基礎年金と厚生年金の2階建て年金を受給する、という建付けです。

国民年金は20歳~60歳の40年加入すると、老齢基礎年金を満額(年額816,000円、令和6年度)受給できます。ただし何らかの事情で、保険料納付期間が40年(480ヵ月)に満たない場合、その未納期間分の年金を減額されます。

で、60歳時点で保険料未納期間がある人が、老齢基礎年金の受給額を満額にする(近づける)ため、引き続き保険料納付を希望する場合は、国民年金に加入することができます。

これが国民年金の任意加入です。

私(タツマル🐲)のケース

33ヵ月の未納期間を埋めるべく任意加入

私タツマル🐲のケースで具体的に説明します。

私の場合、22歳で会社に入ってから60歳定年退職するまでの37年4ヵ月(448ヵ月)、厚生年金の被保険者(かつ国民年金の第2号被保険者)でした。

この場合の国民年金(基礎年金)の受給額は次の通りです。

(老齢基礎年金額 令和6年度ベース)
816,000円×447ヵ月(注)÷480ヵ月=759,900円

(注)老齢基礎年金の算定基礎となるのは60歳到達の前月までとなるため厚生年金被保険者期間(月数)よりも1ヵ月少なくなる

現在は、20歳になったら国民年金は強制加入ですが、私が20歳の頃は、学生は任意加入でした。ですので当時、大学生だった私は、「国民年金に加入しよう」なんてことは露ほども思わず、完ぺきに放置してました。

そして大学を卒業し、会社に入ってから初めて、厚生年金に加入したわけです。

その結果、20歳の誕生月から就職前月までの2年9ヵ月(33ヵ月)が国民年金保険料の未納期間となってしまいました。

国民年金は60歳になると加入資格を失いますので、60歳定年退職した私は、何もしなければ老齢基礎年金を満額受けとれないわけです。

私のように、学生時代に国民年金に加入していなかったとか、海外に長期滞在したときに国民年金に加入しなかったとか、そういった事情で、国民年金保険料の未納期間がある人はそれなりに多いと思います。

そういう人が、老齢基礎年金を満額受給するために、未納期間分の保険料を納付できるようにしたのが、国民年金の任意加入制度です。

私の場合、未納期間が2年9ヵ月ですので、60歳定年後(2024年8月)から62歳9ヵ月(2027年4月)まで任意加入できます。ついては定年退職後、ただちに自宅最寄りの年金事務所に出向き、任意加入の手続きを実施しました。

妻の国民年金は第3号から第1号へ変更必須

ここで、妻の国民年金加入状況について触れたいと思います。

私の妻は学生時代、20歳のときに国民年金に加入(第1号被保険者)し、就職に伴い厚生年金保険に加入(第2号被保険者)、そして39歳まで勤務した後に退職し、以降は私の扶養家族として国民年金第3号被保険者(=厚生年金被保険者の被扶養配偶者)となりました。

今般、私が定年退職で厚生年金保険を脱退したことにより、妻は第3号被保険者の資格を失ったわけですが、まだ55歳ですので引き続き国民年金に加入する必要があります。

ということで、私自身の国民年金任意加入手続きと併せ、妻の国民年金被保険者種別を第3号から第1号に切り替える手続きを、年金事務所で済ませたわけです。

超オトクな付加年金に加入

さらにはこのタイミングで、国民年金の付加保険料を納付する手続きも併せて実施しました。

付加保険料とは付加年金を受給するために納付する保険料です。

付加年金とは、国民年金の第1号被保険者及び任意加入被保険者を対象とした制度で、付加保険料を納付することで老齢基礎年金に上乗せ支給される年金です。

具体的には、国民年金保険料に追加して、付加保険料(月額400円)を納付すると、付加年金(200円×付加保険料を納付した月数)が、老齢基礎年金に上乗せして支給される、という制度です。

例えば、付加保険料を1年間4,800円(400円×12ヵ月)納付すると、老齢基礎年金に2,400円(200円×12ヵ月)の付加年金が、毎年上乗せされます。

つまり、わずか2年間付加年金を受給すると、支払った付加保険料の元がとれてしまい、さらにその後死ぬまで付加年金をもらい続けることができるんです!

このように、全くもってあり得ないほど有利な制度なんですよね~付加年金ってヤツは・・。こいつはやらない手はありません。

ということで私は、60歳定年退職後ただちに自宅最寄りの年金事務所に出向き、次の手続きを実施しました。

  • 自分の国民年金の任意加入
  • 妻の国民年金 第3号から第1号被保険者への種別変更
  • 自分と妻の付加保険料を納付

前納により国民年金保険料を圧縮

以上の手続きにより、今後毎月、以下の国民年金保険料がかかることとなります。

(国民年金保険料16,980円+付加保険料400円)×2人分(私と妻)=34,760円

この保険料を月々ではなく、可能な限り前倒しで一括払い(前納)することとしました。前納することにより保険料が若干割引きになります。

国民年金保険料の前納可能な期間は最大2年分(ただし3月まで)です。

私の場合は、2024年8月から2026年3月までの20ヵ月分保険料を前納したところ、総額686,240円でした。

その結果、通常の毎月納付の金額695,200円(34,760円×20ヵ月分)よりも8,960円(1.3%程度)安くなりました😁

任意加入+付加保険料納付により年金額アップ!

国民年金の任意加入可能な期間は、保険料納付済期間が480ヵ月に達するまでです。

私の場合は、最長で2027年4月までの2年9ヵ月(33ヵ月)保険料を納付することができます。

前納により2026年3月までの20ヵ月分343,120円は既に納付済みですが、残りの13か月分(2026年4月~2027年4月)225,940円については、月々納付する予定です。

なお、私の任意加入に伴う国民年金+付加保険料の総額(33ヵ月分、妻の保険料は含まない)は、以下の通りです。

(任意加入にかかる保険料総額)

[保険料月額]

国民年金保険料16,980円+付加保険料400円=17,380円

[納付済み]
2024年8月~2026年3月(20ヵ月分)

17,380円×20ヵ月-前納割引4,480円=343,120円①

[納付予定]
2026年4月~2027年4月(13ヵ月分)

17,380円×13ヵ月=225,940円②

総額569,060円(①+②)

上記2年9ヵ月(33ヵ月)分の国民年金保険料と付加保険料の総額569,060円を納付することで、老齢基礎年金は次の通り、年額62,700円アップします。

(任意加入による老齢基礎年金アップ)

[任意加入前・65歳受給]

816,000円×447ヵ月÷480ヵ月=
年額759,900円

  ↓

[任意加入後・65歳受給]

816,000円×480ヵ月÷480ヵ月
+6,600円(付加年金33ヵ月分)=
年額822,600円

②-①=年額62,700円アップ!

この任意加入にかかる保険料負担(というか投資)は、9年で回収することになります(保険料569,060円÷年金アップ額62,700円)。つまり65歳から年金受給する場合、74歳(65歳+9年)まで生きればペイする、ということです。

さらには前回述べた通り、私自身は70歳まで支給開始を繰り下げる予定ですので、この場合、増額分62,700円は42%増の89,034円となります。そうすると保険料の6.4年分(569,060円÷89,034円)となり、76.4歳(70歳+6.4年)で回収できます。

ということで、70歳支給繰下げ後の公的年金は、国民年金任意加入と付加保険料納付により8.9万円増額します。老齢厚生年金も含む公的年金アップは次の通りです。

(繰下げ版 任意加入による公的年金アップ)

[任意加入前・70歳繰下げ受給]

老齢基礎年金108万円+老齢厚生年金248万円=356万円①

 ↓

[任意加入後・70歳繰下げ受給]

老齢基礎年金116万円+付加年金0.9万円+老齢厚生年金248万円=364.9万円②

②-①=年額8.9万円(2.5%)アップ!

国民年金任意加入の真の目的・・それはiDeCo!?

70歳から生涯支給される公的年金を毎年8.9万円増額できるのは、老後の安心という面からも良かったと思います。

ともあれ私は別に、「国民年金をどうしても満額もらいたい!」というわけではありませんでした。

国民年金に任意加入した真の目的は、「定年退職後iDeCoに加入して掛金を拠出するため」なんです。

詳しくは過去記事「定年時の退職金どう受け取る?③(DCをiDeCoに移換して一時金受給する理由)」に記載の通り、iDeCoに掛金を拠出することで、次のような節税策を講じるわけです。

  • iDeCoの掛金を給与やDB年金の収入から所得控除する
  • iDeCoに掛金を拠出することで退職所得控除額を増やす

これによる節税効果は当該記事に記載した通りです。

そして、iDeCoに加入するには何らかの公的年金制度の加入者である必要があります。退職して厚生年金被保険者ではなくなりましたので、国民年金に任意加入することが、私にとって唯一の選択肢でした。

よって、iDeCoの拠出期間を最大化するために、国民年金に任意加入できる最長期間(2年9ヵ月)加入することにしたわけです。

つまり、国民年金任意加入の真の狙いは、iDeCoに加入し掛金を拠出することで、給与・DB年金・退職金等の所得にかかる税負担を減らし、手取りを増やすこと、なのです。

さらには、任意加入の国民年金保険料や付加保険料も所得控除できますので、こちらも節税に活用します。

正直者がバカを見る仕組み?

私は学生時代、20歳から2年9ヵ月の間、国民年金の加入及び保険料納付を怠っていました(当時は任意加入なので違法ではありません)。

それが結果として、定年後、任意加入できる余地(保険料未納期間)を残してくれたわけです。一体、何が幸いするかわからないものですねー。

もしもバカ正直に20歳から国民年金に加入し、きちんと保険料を納付していたら、定年退職後、任意加入できず、iDeCoへの拠出もままならず、節税手段が限られて八方塞がりになるところでした😓

いやーマジで!20歳で国民年金に加入しなくてホントに良かったー😄

・・・ん?でもそれって、なんかおかしいですよね?

はっきり言って、正直者がバカを見る制度としか思えません。

ていうか、そもそもなんでiDeCoの加入条件に公的年金の加入者であることが必要なんでしょうか?

理由はおそらくですが、「国民の義務である公的年金に加入しないまま、私的年金であるiDeCoに加入するなんてのは絶対にまかりならーん!😤」という理屈なんでしょうね、きっと。ま、そういうことなら理解できなくもありません。

ともあれこの仕組みだと、第1号被保険者、つまり最も公的年金が手薄な層である自営業の皆さんが、60歳までしかiDeCoに加入できません。会社員等の第2号被保険者(=厚生年金被保険者)は65歳まで加入できるというのに・・。

これはおかしい!全くもって不平等であり不公平としか言いようがありません。

ついては、60歳以上かつ国民年金に任意加入できない場合は、iDeCoの加入条件から公的年金の加入者であることを撤廃するべきだと思います。

まとめ

  • 国民年金の任意加入とは、60歳時点で40年の保険料納付期間を満たしていない人が、老齢基礎年金の増額を希望する場合、60歳以降に自らの意思で国民年金に加入すること。私の場合、20歳から大学卒業まで未納期間ゆえ、それを埋めるべく国民年金へ任意加入
  • 60歳定年退職に伴い厚生年金被保険者でなくなったため、妻の国民年金被保険者種別を第3号から第1号へ変更
  • 付加年金を受給するため、私と妻の付加保険料を納付。付加年金とは月額400円の付加保険料を納付することで年額200円の年金を終身受給する制度。わずか2年で保険料を回収できるため極めて有利な年金
  • 国民年金任意加入の真の目的は、基礎年金アップではなく、iDeCoへ加入すること。iDeCoに掛金を拠出することで、雑所得(年金収入)や退職所得(iDeCo一時金等)の所得控除を増やし、節税することが真の狙い
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