どーも!タツマルです🐲
前回の「定年時の退職金どう受け取る?②(DB全額を年金受給する理由)」は、私の退職金のうち確定給付企業年金(DB)について、どのように受け取るか?なぜそうするか?についてお伝えしました。
今回は、企業型確定拠出年金(DC)を、どのように受給するかについて、理由と併せてご紹介します。
確定拠出年金(DC)はiDeCoに移換してから一時金で受給
私が選んだDCの受給方法は、残高2121万円をいったんiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)に移換し、退職後も掛金の拠出を継続し、拠出完了時(63歳頃)に全額一時金として受給する、というものです。
その主な理由は、次の3点です。
【iDeCoに移換し掛金を継続拠出する理由】
- iDeCoの掛金を給与やDB年金の収入から所得控除するため
- iDeCoに掛金を拠出することで退職所得控除額を増やすため
【全額一時金で受給する理由】
- 年金受給は手数料が発生するが、メリットは特段ないから
それぞれの理由について、詳しくご説明します。
iDeCoに移換し掛金を継続拠出する理由
DC(企業型確定拠出年金)についてもDB(確定給付企業年金)同様、一時金か年金を選択することが可能です。私は、DBは全額年金受給にしましたが、DCは全額一時金で受給することに決めています。
さらには、DC一時金を受け取る前に、いったんiDeCo(個人型確定拠出年金)へ移して、しばらく掛金を拠出する予定です。その理由は、ありていに言うと節税のためです😓
退職した年(2024年)については、年初から退職月までの給与が920万円あり、退職翌月から年末まではDB年金を103万円受給します(いずれも額面)。まあまあの金額ですので、何もしなければ税金をガッポリ持ってかれます😭
よって、いろいろと税金対策を講じているわけですが、そのひとつがiDeCoへの加入です。
iDeCoの加入者になることにより、次の2つの節税が可能です。
- iDeCoの掛金を給与やDB年金の収入から所得控除する
- iDeCoに掛金を拠出することで退職所得控除額を増やす
(理由1)iDeCoの掛金を給与やDB年金の収入から所得控除するため
iDeCoに拠出した掛金は、その年の収入から所得控除できます。
それをするにはまず、iDeCo口座を開設する必要があります。私は定年退職後ただちに、証券会社でiDeCo口座を開設し、掛金を上限額まで拠出するよう申し込みました。
iDeCoの拠出額は公的年金の加入者区分に応じて上限額が変わります。私は国民年金に任意加入しましたので、その場合、iDeCo拠出上限額は月額6.8万円となります。
ただし、国民年金加入時に付加保険料納付も併せて申し込みましたので、その場合、iDeCo掛金上限は月額6.7万円になります。(付加保険料の詳細は別途)
今年はiDeCo掛金を26.8万円(6.7万円×4ヵ月分(8~11月))拠出できますので、確定申告の際にその金額を所得控除する予定です。
iDeCo掛金による節税効果は、所得税20%+住民税10%とした場合、合計8万円(26.8万円×30%)ほど期待できます。
なお税率は、住民税は一律10%ですが、所得税は課税対象額に応じて税率が変わります。今のところの目算としては、所得税率20%または10%の区分で着地する想定です。
(理由2)iDeCoに掛金を拠出することで退職所得控除額を増やすため
DCとiDeCoの加入期間を通算して退職所得控除額を算定
上記の通り私は、定年退職に伴いDC(企業型確定拠出年金)を脱退して、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入しました。その際、DCの残高を全額iDeCoに移換したうえで、引き続き掛金を拠出しています。
つまり、「企業型」から「個人型」へ移りましたが、確定拠出年金には継続して加入しています。
この場合、退職所得控除額はDCからiDeCoへ引き継がれ、iDeCoに掛金を拠出した期間も通算して退職所得控除額が積みあがることになります。
なぜなら、iDeCoの加入期間(=掛金拠出期間)はDC加入期間と同様、「退職所得控除の勤続年数」の扱いになるからです。
私の例で具体的に説明しますと、次の通りです。
- 1987年4月 入社~2024年7月 退職
退職の時点で勤続37年4ヵ月(38年)→退職所得控除額2060万円
退職一時金881万円を受給。退職所得控除額の枠内ゆえ税金はゼロ - 2024年8月 iDeCo加入
DC残高2121万円を全額iDeCoへ移換(この時点は非課税)
iDeCo加入月から2027年4月までの2年9ヵ月、掛金を拠出 - 2027年5月 iDeCo脱退予定
iDeCoの残高を全額一時金で受給予定
iDeCo脱退時点で残高がいくらになっているかわかりませんが、定年時に2121万円でしたので、払い出すときにはざっくり2400万円ぐらいになっている可能性があります(2121万円+拠出額210万円+投資収益は保守的に見て70万円程度)。
ではiDeCo一時金2400万円に対して税金はいくらになるでしょうか?
退職所得控除額は退職一時金との重複期間の調整が必要!
iDeCo脱退時点で退職所得控除の対象期間は41年(勤続37年4ヵ月+iDeCo拠出2年9ヵ月=40年1ヵ月、年未満切上げで41年)、退職所得控除額は2270万円です(計算式:800万円+70万円×(41年-20年))
ただし定年時に退職一時金881万円受給しており、その時の退職所得控除の対象期間(勤続期間)がiDeCoと重複するため、2270万円全額が退職所得控除額とはなりません。重複期間分を除いて退職所得控除額を算定する必要があります。
【退職一時金とiDeCo一時金の退職所得控除対象期間】
項目 | 対象期間 | 対象年数 |
退職 一時金 | 1987年4月~2024年7月 | 37年4ヵ月 |
iDeCo 一時金 | 1987年4月~2027年4月 | 40年1ヵ月 |
上表の通り、退職一時金の対象期間が全てiDeCoと被ってますので、iDeCo一時金の対象期間見合いの退職所得控除額(1年未満切上げ41年→2270万円)から重複期間相当額(1年未満切捨て37年→1990万円)を差し引いた金額(780万円)がiDeCo一時金の退職所得控除額となります。これが原則です。
しかしながら私の場合、先行して受給した退職一時金881万円が、そのときの退職所得控除額2060万円よりも少ないため、未使用の退職所得控除額が残っています。
この場合は、実際の重複期間相当額を差し引くのではなく、次のような計算式で「みなし重複期間」を求めたうえで、当該みなし重複期間相当額を差し引いて退職所得控除額を算定します。
[iDeCo一時金の退職所得控除額(重複期間差し引き前)]
勤続41年・退職所得控除額2270万円(a)
[上記(a)から差し引くべき、みなし重複期間の退職所得控除額]
みなし重複期間=(退職一時金881万円-800万円)÷70万円+20年=21.16年→21年(1年未満切り捨て)
みなし重複期間分の退職所得控除額=800万円+70万円×(21年-20年)=870万円(b)
[みなし重複期間分を除いた後の退職所得控除額]
2270万円(a) – 870万円(b)=1400万円
ということで、iDeCo一時金受給時の退職所得控除額は1400万円になります。
いや~💦それにしても!税金計算メンド~イ!🤣
iDeCo一時金にかかる税金は108万円
iDeCo脱退時(2027年4月)に一時金2400万円を受給した場合の税金は、次の通り108万円となります。
(iDeCo一時金受給にかかる税金)
課税対象額=(iDeCo一時金2400万円-退職所得控除額1400万円)÷2=500万円
所得税=(課税対象額500万円×税率20%-控除額42.75万円)×復興税102.1%=58万円
住民税=課税対象額500万円×税率10%=50万円
所得税+住民税=108万円
iDeCo一時金2400万円にかかる税金が108万円ですので、額面のわずか4.5%です。ま、この程度なら甘んじて受け入れ、きっちり納税することに異論はありません。
iDeCo加入による節税効果はなんと!32万円😉
では、iDeCoに加入して2年9ヵ月掛金を拠出することによる節税効果はどれぐらいでしょうか?
iDeCo一時金は同じく2400万円とし、iDeCoに掛金を拠出しなかった場合の税額を計算します。
[iDeCoに掛金を拠出しなかった場合のiDeCo一時金税額]
退職所得控除額=2060万円(勤続37年4ヵ月)-870万円(みなし重複期間相当額)=1190万円
課税対象額=(iDeCo一時金2400万円-退職所得控除額1190万円)÷2=605万円
所得税=(課税対象額605万円×税率20%-控除額42.75万円)×復興税102.1%=80万円
住民税=課税対象額605万円×税率10%=60万円
所得税+住民税=140万円
このように、iDeCoに掛金を拠出しなかった場合の税額は140万円となります。掛金を拠出した場合と比較すると下表の通りです。
ケース | 退職所得控除額 | 税額 |
---|---|---|
①掛金を拠出した場合 | 1400万円 | 108万円 |
②掛金を拠出しなかった場合 | 1190万円 | 140万円 |
差額①-② | 210万円 | ▲32万円 |
ご覧ください!
iDeCoに加入し、2年9ヵ月掛金を拠出するだけで、退職所得控除額は210万円増え、その結果なんと!32万円も節税することができましたぁーっ!(ひゃっほー!😆)
iDeCo加入による退職所得の節税効果がお分かりいただけましたでしょうか?いやすごいですね~😮
ということで以上の通り、DCからiDeCoへ移換し、引き続き掛金を拠出することにより、給与所得や雑所得(DB年金)から所得控除できるうえ、退職所得控除額も増やせるので、トータルとしての節税効果は高まります。
全額一時金で受給する理由
(理由3)年金受給は手数料が発生するが、メリットは特段ないから
続いてiDeCoを全額一時金で受給する理由です。
それは、iDeCoを年金で受け取ると、やたらと手数料を取られるからなんです。年金として振り込みを受ける都度、毎回440円もの振込手数料がかかるようなんです。
普段からネット銀行を活用して、振込手数料やATM手数料を一切負担してない私にしてみれば、振込みの都度かかる440円なんてのは、とんでもないボッタくり金額にしか見えません🤣
仮に2ヵ月毎に(年6回)受給するとした場合、年間でなんと!2,640円もかかってしまいます。
「なになに?年間2,640円ぽっちで大騒ぎしてんの~?」なんて声が聞こえてきそうですね~😅
でもDB年金の方は振込手数料なんて通常かからないですし、公的年金ももちろん振込手数料は無料です。なぜかDCやiDeCoといった確定拠出年金だけが、この手数料をふんだくられるんです。
さらにDCの場合は、退職後に口座を維持すると、それまで会社が負担していた口座管理料 年額5,000円程度が自己負担になります。この手数料は年金受給期間中ずっとかかるわけです。
これら手数料を負担してまで、DCやiDeCoを年金受給するメリットは、私には思い浮かびません。ですので、拠出期間が終了したらとっとと残高を全額払い出して、iDeCo口座を解約するつもりです。
ということで、これまで述べた理由により、私はDC残高2121万円をいったんiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)に移換し、退職後も掛金の拠出を継続し、拠出完了時(63歳頃)に全額一時金として受給することとしました。
まとめ
DCをiDeCoに移換して掛金を拠出した後、一時金で受け取る理由は次の3点
- その年に拠出したiDeCoの掛金は、確定申告の際に給与所得や雑所得(DB年金)から所得控除することで節税できるから(節税額:初年度8万円、翌年以降も節税可)
- iDeCoに掛金を拠出した期間は、退職所得控除額を算定する期間に通算される。これで退職所得控除額を積み増すことにより、iDeCoから一時金を払い出す際にかかる退職所得課税を節税できるから(節税額:驚きの32万円!)
- iDeCoやDCを年金として受け取る場合、受給の都度、手数料を徴収される(振込1回につき440円)。またDCの口座管理手数料(毎年5000円程度)も自己負担となる。このような手数料を取られるにもかかわらず、年金受給することのメリットは見当たらないから
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