定年時の退職金どう受け取る?②(DB全額を年金受給する理由)

ニューヨーク、ロックフェラーセンター、2017年撮影

どーも!タツマルです🐲

前回「定年時の退職金どう受け取る?①(一時金?年金?)」では、定年時点の私の退職金について、種類別の金額や概要をお伝えしました。

今回はその中でも確定給付企業年金(DB)について、どのように受け取るか?なぜそうするか?を詳しくご紹介します。

目次

確定給付年金(DB)は全額を年金で60歳から10年間受給

私が選んだDBの受給方法は、残高2681万円の全額を年金として60歳から10年かけて受け取る、というものです。

その主な理由は、次の3つです。

【DBを年金で受け取る理由】

  • 過大な税負担を回避するため
  • 受給総額を増やすため
  • 公的年金受給までのつなぎ年金にするため

それぞれの理由について詳しくご説明します。

(理由1)過大な税負担を回避するため

一般論として一時金の方が年金よりも税制面で有利と言われるが・・・

理由のひとつめは「過大な税負担を回避するため」です。

DBは受け取り方によって税金の種類が変わります。一時金の場合は「退職所得」年金の場合は「雑所得」として課税されます。

退職所得にすると、控除額(課税対象額から差し引かれる金額)が大きいことに加え、退職所得控除後の課税対象額が半分になる、といった税制上の優遇措置を受けることができます。

これが、「退職金(企業年金)は年金よりも一時金で受け取った方が、手取り額が増えるので有利」と言われる所以です。

ではもし私が、退職金を全て一時金で受け取った場合、税金はいくらになるでしょうか?

実際に計算してみます。

退職金総額にかかる税金を計算すると・・!?

(退職金総額)

退職一時金881万円+確定給付年金(DB)2681万円+確定拠出年金(DC)2121万円=5683万円

(退職所得控除額)

勤続年数=37年4ヵ月→38年(1年未満切上げ)

退職所得控除額=800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円

(退職金にかかる税金)

課税対象額=(退職金総額5683万円-退職所得控除額2060万円)÷2=1811万円

所得税=(課税対象額1811万円×税率40%-控除額279.6万円)×復興税102.1%=454万円

住民税=課税対象額1811万円×税率10%=181万円

所得税+住民税=635万円
😭クソたけー💦

※退職金にかかる税金はこちらのWEBサイトで簡単に計算できます
keisan生活や実務に役立つ計算サイト(退職金の税金)

このように私の場合、退職金総額5683万円を全額一時金で受け取ると、なんと635万円もの税金を、一気に徴収されてしまうんです!

しかもこれは節税の手段がないため、否応なしに635万円もの税金をガサーっと持ってかれるわけです😱

そんなのもう!たまったもんじゃありません。こいつはなんとかしなきゃならん!と思いましたねー。

一体どうすれば良いのでしょう?🤔

DBを年金にすることで退職所得から外す作戦

そもそもなんでこんな高額な税金が発生するのでしょうか?

それは、退職金総額が退職所得控除額をはるかに上回るため、退職所得控除後の課税対象額が半分になっても1811万円と高額であり、所得税の累進性によって高い税率(40%)が適用されてしまうからです。

これがもしも、課税対象額が半分になっていなければ一体どんな大惨事になるのでしょうか?

な、なんと!退職金総額にかかる税金は1556万円(所得税1194万円+住民税362万円)という、目もくらむような金額になってしまいます!😱

・・・いや~、それにしても!税金って恐ろしいですね~😅

結局のところ、退職金にかかる税金をできるだけ抑えるには、退職所得控除額を超過する金額を可能な限り減らすしかありません。

退職金総額5683万円のうち、退職一時金881万円はすでに受給済みですし、DC2121万円はiDeCoに移換した後、全額を一時金で受けとる予定です。

つまり退職一時金とDCの合計額3002万円が退職所得になるため、すでにこれだけで退職所得控除額2060万円をはるかに超えてしまってるわけです。もうこれ以上、退職所得を増やすわけにはいきません。

そこで、DB2681万円については全額を年金化することで、退職所得から雑所得へ逃がすことにしたわけです。そうすると、退職所得にかかる税金はなんと!わずか99万円(所得税52万円+住民税47万円)まで下がるわけです。

さらにはDBを年金化して受給時期を複数年に散らすことにより、年ごとの受給額を抑えることができますし、各年の受給額から公的年金等控除額を差し引くことができます。これで課税対象額を減らし、税負担を抑制できます。

もっと言うと、年金(雑所得)にすれば、いろいろと節税の手段を講じることもできます。例えば社会保険料やiDeCo掛金、さらには生命保険料控除や医療費控除等により課税対象額をさらに減らせます。あと節税ではありませんが、ふるさと納税にも活用できます。

ということで、DBを全額年金化した理由のひとつは、635万円もの過大な税金を一括で徴収されてしまうことを回避し、将来に節税できる余地を残しておくためです。

(理由2)受給総額を増やすため

DBを年金で受け取ると、受給時期が先延ばしになりますので、その分の利息が上乗せされます。この利息を計算するための利率を「年金給付利率」と称し、これはDBの制度内容によって異なります。

私の勤務先のDB制度は、年金給付利率が3%とやや高めですので、年金化することで一時金に比べると受給総額が次の通りアップします。

DBの一時金・年金 総額比較

DB一時金総額:2681万円
🤨ま、こんなもんかな?

DB年金総額 :3108万円
😁増えたぞーい!

(年金総額=年額310.8万円×10年)

このように、10年年金で受け取ると一時金よりも427万円、率にして約16%アップします。

実は年金化することで、一時金にはかからない国民健康保険料(所得割額)がかかってきます。それでも受給額自体が増加し、かつ税負担も緩和されますので、手取り額についても一時金より多くなります。(試算結果は後述)

ちなみにDB年金の受給総額を最大化する方法は、受給開始を65歳まで繰り下げ、最長の20年間で受け取る、というものです。つまりできるだけ遅く、できるだけ長期間かけて受給すれば、利息が増えますので総額も増える、というわけです。

私の場合、65歳から20年の年金とした場合、受給総額はなんと!3760万円(年額188万円×20年)もの金額になります。これは10年年金の1.2倍、一時金と比べると1.4倍もの金額です。

私がDBを年金化する目的は、一時金よりも増額させるためですが、とはいえ金額の最大化を目指しているわけではありません。それよりも安定的な年金収入の確保を重視しています。

その詳細は次の項目でお伝えします。

(理由3)公的年金受給までのつなぎ年金にするため

DBを10年年金にした狙いは、公的年金の受給開始までのつなぎ年金にすることです。

どういうことかと言いますと、私の年金受給プランは、

  • 公的年金の受給開始を70歳まで繰り下げる
  • 60~69歳の10年間はDB年金でつなぐ

という計画なんです。

ご承知の通り、公的な老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)は65歳から受給することが原則ですが、受給開始年齢は60~75歳の間で選択することが可能です。

年金額は、65歳よりも前に繰り上げると減額されますし、後に繰り下げると増額されます。

私の場合は、新卒入社から60歳定年までの37年4ヵ月、厚生年金保険に加入しており、65歳からの年金支給予定額は、年額251万円(令和6年度ベース)です。これを5年繰り下げて70歳受給開始にすると、年額356万円まで増えるんです。

【公的年金繰下げによる増額】

65歳~年額 251万円
(基礎76万円+厚生175万円)

70歳~年額 356万円
(基礎108万円+厚生248万円)

基礎=老齢基礎年金
厚生=老齢厚生年金

※公的年金の受給額はこちらのWEBサイトで試算できます
日本年金機構 ねんきんネット

このように、受給開始年齢を70歳まで5年繰り下げることで42%(105万円)年金額が増額されます。

つまり私の年金受給プランは、次の通り60歳から死ぬまで切れ目なく、年額300万円強の年金を確保する計画、ということになります。

  • 60歳~69歳
    年額310万円(DB年金)
  • 70歳~終身
    年額356万円(公的年金)

60歳定年後は給与収入がなくなりますので、安定的な年金収入があることは非常に心強いです。

たとえ金融資産のストックがそれなりにあったとしても、フロー収入が一切無いと、困ることが多々あると思います。

例えばクレジットカード作ったり、賃貸住宅を契約したり、といった場面では、無職無収入よりも年金収入があった方が有利なはずです(というか、無職の時点でアウトかもしれませんが🤣)

だから、DBを全額年金化して60歳から10年間受け取り、公的年金はDB年金受給が満了する70歳から受け取ることにしました。

DB 一時金と10年年金の手取り額比較

ご参考までにDBを一時金にした場合と10年年金にした場合のそれぞれの手取り額(10年分)を簡便に試算しました。

結果は下表の通り、10年年金を受給すると、国民健康保険料負担は増えますが、税負担は著しく低下します。よって、退職金総額の増加とも相まって、手取り額はDB10年年金の方がかなり多くなるという結果でした。

【DB 一時金と10年年金の手取り額比較】

項目DBを全額
一時金で受給
DBを全額
10年年金で受給
退職金
総額
一時金 5683万円
年金    0円
———————–
合計 5683万円
一時金 3002万円
年金  3108万円
———————–
合計 6110万円
国民健康保険料▲164万円
※均等割のみ
▲389万円
※所得割+均等割
税金一時金▲635万円
年金   0円
———————–
合計 ▲635万円
一時金 ▲99万円
年金  ▲99万円
———————–
合計  ▲198万円
差引
支給額
4884万円5523万円
  • 退職金支給総額には退職一時金881万円とDC残高2121万円を含む
  • いずれも60~69歳の10年間はその他の所得なし、国保加入の前提で試算

まとめ

DBを年金化する理由は次の3点

  1. 一時金で受け取る退職金は、退職所得控除額を超過する金額が大きくなるほど、所得税の累進性により高額な税金を課せられる。ついては退職金の一部を年金化して退職所得を減らすことにより、過大な税負担の回避を狙う
  2. DBを年金化することで、年金給付利率に基づく利息の上乗せにより、受給総額を一時金よりもアップさせる
  3. 公的年金の受給開始を70歳まで繰り下げるべく、60~69歳の10年間はDB年金をつなぎ年金にする
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