どーも!タツマルです🐲
今回から、定年退職後の健康保険・介護保険をどうするか?について、私の実例をご紹介します。
定年退職に伴い、それまで勤務先で加入していた健康保険を脱退することになります。よって、何らかの公的医療保険に加入しなければなりません。
なにしろ日本は、国民皆保険制度により、全国民が何らかの公的医療保険に加入する義務がありますので😅
定年退職後、再就職しない場合の事実上の選択肢は、次のいずれかです。
- 勤務先の健康保険に「任意継続」加入
略称:任継(にんけい) - 「国民健康保険」に加入
略称:国保(こくほ)
私自身もこの2つの選択肢を検討した結果、次の通り対応する予定です。
- 退職 初年度(2024年8月~翌3月)
→「任意継続」を選択 - 退職 翌年度(2025年4月~翌3月)
→引き続き「任意継続」 - 退職 翌々年度以降(2026年4月~)
→「国民健康保険」に切り替え
いずれの年度も保険料負担の少ない方を選択しました。その選択にあたっては、任継および国保の年度ごとの保険料を予め見積もっておく必要があります。
ついては今回はまず、任意継続の保険料について、試算方法等をご紹介します。
任意継続の保険料は退職前の原則2倍!
任意継続とは
「任意継続」とは、定年まで勤務した会社の健康保険に退職後も継続加入することです。
勤続2ヵ月以上で退職した場合、20日以内に申請をすれば、最長2年間、任意継続することが可能です。
任意継続被保険者になると、本人も家族も、在職中とほぼ同等の保険給付(保険診療や人間ドック等)が受けられますので、とても利便性が高いです。
ゆえに任意継続は、定年退職後に加入する健康保険の最有力候補といえます。
加入手続きは「退職後20日以内」とされていますが、実務上は退職前にすべて書類の提出を済ませるのが通常です。
よって任意継続を検討するなら、退職前のできるだけ早い時期に、保険料負担額を確認しておくことが望ましいでしょう。
任意継続 保険料算定方法
任意継続の保険料は、退職時の健康保険 標準報酬月額に保険料率を乗じて求めます。
標準報酬月額とは、例月給与とほぼ同じ、と考えて差支えありません。基本は毎年4~6月の3ヵ月分給与(通勤手当の月額相当や社宅等の現物報酬含む)の月当たり平均額を標準報酬月額とし、9月から1年間適用されるものです。
この標準報酬月額に保険料率を乗じて保険料を算定します。
在職中はその保険料を会社と社員本人が折半負担します。つまり毎月給与天引きされている健康保険料・介護保険料は、本人負担分(=保険料の半分)のみ、ということです。
それが退職後、任意継続する場合は、会社負担分含む保険料全額を自己負担することになります。
ということはつまり、任意継続の保険料は、在職中に給与天引きされていた健康保険料・介護保険料を2倍にした金額に等しいということになるわけです。
ご自分の健康保険 標準報酬月額や加入する健康保険の保険料率がわからない場合は、この方法で任意継続保険料を試算するのが簡便なやり方です。
任意継続 保険料の実例(タツマルの場合)
私の任意継続保険料を実例として計算しましたのでご紹介します。
本来の計算方法(退職時の標準報酬月額×保険料率)と簡便な試算方法(退職前の給与天引き保険料×2倍)のそれぞれを以下に記載しています。
本来の計算方法(退職時の標準報酬月額×保険料率)
退職時の標準報酬月額93万円×健康保険料率9.2%=85,560円
退職時の標準報酬月額93万円×介護保険料率1.86%=17,298円
簡便な試算方法(退職前の給与天引き保険料×2倍)
退職前の給与天引き健康保険料42,780円×2倍=85,560円
退職前の給与天引き介護保険料 8,649円×2倍=17,298円
ご覧の通り、「本来の計算方法」と「簡便な試算方法」による保険料が一致しています。つまりこの金額(健康保険料85,560円・介護保険料17,298円)が私の任意継続保険料というわけです。
【簡便な試算方法の注意点】
(注1)退職月の給与明細の保険料で試算する場合はご注意ください。月末退職の場合、退職月の保険料は通常2ヵ月分徴収されます。ですのでその金額を2倍にすると、本人負担分の4倍(つまり任継保険料の2倍)となってしまいます。給与明細には2か月分保険料である旨、明記されていない場合が多いと思いますので、念のため退職前月給与の保険料も併せて確認することが望ましいです。
(注2)毎年9月は標準報酬改定月のため、9月末退職の場合は退職月給与の保険料を2倍にした金額=任意継続保険料とならない場合があります。この場合は改定後の標準報酬月額×保険料率で任意継続保険料を試算する必要があります。また、昇給した月の4ヵ月目の月末(4月昇給で7月末退職の場合等)に退職する場合も同様に標準報酬月額が改定されている場合がありますのでご注意ください。
任意継続の保険料には上限がある
保険料上限のおかげで大幅に負担軽減!
上記で計算した私の保険料は102,858円(健康保険料85,560円+介護保険料17,298円)・・。
なんと毎月10万円以上です!退職後に負担するにはちょっと厳しい金額ですね~😱
でもご安心ください。任意継続の保険料には上限があり、それを超える費用負担はありません。
私が加入する健康保険の場合、任継の保険料上限は月額45,346円(健康保険料37,720円+介護保険料7,626円)でした。
ということは、先ほど計算した保険料102,858円の半分以下。つまり在職中の自己負担額51,429円(健康保険料42,780円+介護保険料8,649円))よりもさらに6千円少ない金額というわけです。これは助かりますね~😊
保険料上限は加入する健康保険によって異なる
ちなみにこの保険料上限額は、加入する健康保険によって異なります。
その理由は、それぞれの健康保険(各企業の健康保険組合や協会けんぽ等)に加入する全被保険者の平均標準報酬月額×保険料率を任意継続保険料の上限にしているからです。
大手企業グループの場合、たいていは自前の健康保険組合を設立してますので、勤務先の健保組合(または会社の給与担当)に問い合わせれば、任意継続保険料の上限額を教えてもらえます。
また、健保組合はたいていWEBサイトを持ってますので、「〇〇(←勤務先の会社名)健康保険組合 任意継続」で検索すると、勤務先の健保組合の任意継続に関する情報を見つけられます。私もそれで調べました😅
[事例1:トヨタ自動車健保組合の任継保険料上限]
ご参考までにトヨタ自動車のケースを調べてみました。「トヨタ 健康保険組合 任意継続 保険料」で検索すると、次のページが見つかります。
これを見ると、トヨタ自動車健康保険組合の任意継続の保険料上限は月額47,658円(健康保険料39,010円+介護保険料8,648円)のようです(2023年度)。ちなみに平均標準報酬月額は47万円、保険料率は10.14%(健保8.3%+介護1.84%)でした。
[事例2:協会けんぽ(東京都)の任継保険料上限]
中堅中小企業が主に加入する協会けんぽについても見てみました。協会けんぽの任意継続の保険料上限は34,740円(健康保険料29,940+介護保険料4,800)のようです(令和6年度、東京都)。なお、平均標準報酬月額は30万円、保険料率は11.58%(健保9.98%+介護1.6%)でした。
このように、ご自分の加入する健康保険の任意継続 保険料上限額をWEBサイトから調べることが可能です。
任意継続の保険料は2年満了まで原則変わらない
国民健康保険料は毎年変動するので要ウォッチ
これまで述べた通り、任意継続の保険料は、次のいずれか低い方の金額になります。
- 退職時の標準報酬月額×保険料率
- 加入する健康保険の任意継続保険料上限額
そして、任意継続に加入した時点の保険料が、原則2年満了まで適用されます。ということはつまり、退職して無職になってからも、定年時点の比較的高い給与に基づく保険料をずーっと徴収されるわけです。
一方、国民健康保険は、加入後も前年年収や家族状況等に応じて毎年保険料が変動します。当然収入が下がれば翌年度の保険料負担も低下します。
よって退職時に任継を選択した場合でも、国民健康保険料はいくらになるかを適宜ウォッチしておくべきでしょう。そうすれば国民健康保険料の方が安くなるタイミングでスムーズに任継から国保に切り替えることが可能ですので。
なお、国民健康保険料については次回、詳しくご紹介します。
任意継続保険料が変動する場合もある
任意継続保険料は原則2年間同額ですが、以下の場合は改定されることがあります。いずれの場合も保険料の大幅な変動はないものと思いますので、ご参考まで。
保険料率が改定された場合
任意継続保険料は、退職時の標準報酬月額×保険料率で算定しますので、保険料率が改定された場合は、それに伴い保険料も改定されます。
平均標準報酬月額が変動した場合
任意継続保険料の上限額は平均標準報酬月額×保険料率です。よって上限の保険料が適用されている場合、加入する健康保険の平均標準報酬月額が変動すると、任意継続保険料も改定されます。なお平均標準報酬月額は9月末時点の全被保険者で決定し、翌年4月分保険料から適用されます。
まとめ
- 任意継続とは勤務先の健康保険に退職後も最長2年間継続加入できる制度
- 任意継続は定年退職後に加入する健康保険の最有力候補。早めに保険料を確認しておきたい
- 任意継続の保険料は退職前の原則2倍!保険料は大幅アップ
- ただし任意継続保険料には上限額があり、それを超える場合は負担軽減できる
- 任意継続保険料は原則2年間同額のまま。収入次第で変動する国民健康保険料を適宜ウォッチし、そちらの方が安くなるタイミングで国保への切り替えを検討
コメント