どーも!タツマルです🐲
定年退職に伴い「健康保険をどうするか?」を決める必要があります。事実上の選択肢は「任意継続」と「国民健康保険」のいずれか。それぞれの保険料を試算し、どちらの負担が少ないか比較します。
前回「定年退職後の健康保険どうする?①(任意継続保険料いくら?)」では任意継続の保険料を試算しましたので、今回は国民健康保険料を試算してみます。
国民健康保険料を決める3要素
国民健康保険料は次の3つの要素で決まります。
- 居住する市区町村
- 国保に加入する家族の人数
- 加入者全員の前年所得
それぞれの要素について以下の観点を考慮し、私の国民健康保険料を試算してみたいと思います。
居住する市区町村
まずは「1.居住する市区町村」です。
国民健康保険は、居住する市区町村によって保険料の算定方法が異なります。ですのでまずは、自分が住んでいる市区町村の役所のWEBサイトで国民健康保険料の算定方法を調べます。
私は東京都内に住んでおり、23区の国民健康保険料は概ね同様の算定方法のようです。ついては参考までに、世田谷区の保険料を試算します。
世田谷区の国民健康保険料は以下のサイトで調べました。
サイトの説明によると、国民健康保険料は、基礎(医療)分・支援分・介護分の3つに分かれており、それぞれについて所得割額と均等割額を算定し、最後に合計して求める、とのことです。
これで算定方法がわかりました。
国保に加入する家族の人数
続いて「2.国保に加入する家族の人数」です。
国民健康保険は世帯単位で加入しますので、世帯を構成する家族の人数分の保険料が発生します。具体的には、上記保険料の「均等割額」については「単価×加入者数(本人含む家族人数)」で求めます。
私の場合は、私自身と妻の2名分となります。
加入者全員の前年所得
そして「3.加入者全員の前年所得」です。
上記保険料の「所得割額」は、加入する家族全員の前年1~12月の所得が算定基礎となります。
私の場合、妻の所得はありませんので、私自身の所得のみが対象です。
定年退職後は所得がかなり減少しますので、年度を追うごとに保険料が少なくなるはずです。
任意継続保険料と比較するために、任継の加入期間である2年分(2024年8月~2026年7月)の国民健康保険料を試算します。具体的には次の3つの期間が対象です。
- 退職 初年度(2024年8月~翌3月)8ヵ月
- 退職 翌年度(2025年4月~翌3月)12ヵ月
- 退職 翌々年度(2026年4月~7月)4ヵ月
退職 初年度の国民健康保険料
基礎(医療)分
では私の退職初年度(2024年8月~翌3月の8ヵ月分)の世田谷区における国民健康保険料を試算します。
まずは基礎(医療)分です。
所得割額は「加入者全員の賦課基準額の合計額×8.69%×加入月数÷12」となっています。ここでいう賦課基準額とは、「a.前年の所得額」から「b.住民税基礎控除(43万円)」を引いて求めます。
a.前年の所得額とは、私の場合、定年退職した2024年の前の年、つまり2023年1月~12月の所得となります。その年は給与所得のみでしたので、会社からもらった「令和5年分 給与所得の源泉徴収票」から金額を拾います。
給与所得とは「給与等の収入金額から給与所得控除額」を差し引いた金額となります。これは源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」という欄に記載されています。
ちなみに私の給与等の収入金額(つまり額面年収)は1566万円、そして給与所得控除後の金額(=a.前年の所得額)は1371万円でした。この金額からb.住民税基礎控除43万円を引いた1328万円が賦課基準額となります。
なお世帯全体ですので妻の所得も合算することとなりますが、妻は無職ですので賦課基準額はゼロです。
よって、所得割額は以下の通り計算します。
賦課基準額(私1328万円+妻0円)×8.69%×加入月数8ヵ月÷12=769,354円
なお加入月数の8ヵ月というのは、定年退職翌月(2024年8月)から年度末(2025年3月)までの月数です。つまりこれは、2024年度(2024年4月~2025年3月)の年間保険料のうち、加入月数8ヵ月に相当する金額です。
そして均等割額は、加入者数2人(私と妻)×49,100円×加入月数8ヵ月÷12=65,466円となります。
以上により求めた所得割額と均等割り額を合算して基礎(医療)分を算定します。
基礎(医療)分=所得割769,354円+均等割65,466円=834,820円
この金額は世帯最高限度額の65万円を超えていますので、2024年度の基礎(医療)分は上限の65万円です。
同様のやり方で②支援分と③介護分を試算します。
支援分
所得割額:(私1328万円+妻0円)×2.8%×加入月数8ヵ月÷12=247,893円
均等割額:加入者数2人×16,500円×加入月数8ヵ月÷12=22,000円
支援分計=所得割額247,893円+均等割額22,000円=269,893円(上限24万円)
介護分
所得割額:(私1328万円+妻0円)×2.36%×該当月数8ヵ月÷12=208,938円
均等割額:40~64歳の加入者数2人×16,500円×該当月数8ヵ月÷12=22,000円
支援分計=所得割額208,938円+均等割額22,000円=230,938円(上限17万円)
国民健康保険料計
それぞれの金額を合算して保険料を求めます。
基礎(医療)分65万円+支援分24万円+介護分17万円=106万円
月額にすると132,500円です(106万円÷8ヵ月)
退職 翌年度の国民健康保険料
続きまして、退職翌年度(2025年4月~翌3月の12ヵ月分)の国民健康保険料を試算します。
初年度との違いは、退職に伴い所得が大幅ダウンしますので、所得割額の算定基礎となる賦課基準額も大幅に下がることです。
退職初年度の賦課基準額は、退職の前年1年分の給与収入(1566万円)が対象でしたのでかなり高額です。
一方、退職翌年度については、退職年の収入である1月~7月の給与収入923万円と8月~12月の企業年金給付額103万円が対象です。それらを合計しても1026万円ですので、収入ベースで540万円下がります。
賦課基準額で比較しますと、退職初年度は1328万円、翌年度は718万円となり、賦課基準額は610万円も減少します。なお、退職翌年度の賦課基準額の計算根拠は次の通りです。
(退職翌年度 賦課基準額 718万円計算根拠)
- 給与所得:2024年1~7月
718万円(給与等総支給額923万円-給与所得控除額195万円-所得金額調整控除10万円) - 雑所得:2024年8~12月
43万円(企業年金給付額103万円-公的年金等控除額60万円)
賦課基準額718万円=(給与所得718+雑所得43)- 住民税基礎控除43
この賦課基準額により計算した国民健康保険料は次の通りです。なお細かい計算プロセスは省略します。
基礎(医療)分65万円+支援分23.4万円+介護分17万円=105.4万円(年額)
月額にすると87,833円です(105.4万円÷12ヵ月)
退職 翌々年度の国民健康保険料
最後に退職翌々年度(2026年4月~7月)の4ヵ月分の国民健康保険料を試算します。
この年度は、前年所得がさらに大幅ダウンしますので、賦課基準額も大幅に下がります。
私の場合、賦課基準額は2024年度1262万円→2025年度718万円と推移してきましたが、2026年度は162万円になる見込みです。
(退職翌々年度 賦課基準額 162万円計算根拠)
企業年金給付額(2025年1~12月)310万円
公的年金等に係る雑所得の金額310万円×0.75-27.5万円=205万円
賦課基準額=総所得金額205万円- 住民税基礎控除43万円=162万円
この賦課基準額により計算した国民健康保険料は次の通りです。
基礎(医療)分238,978円+支援分78,360万円+介護分71,232万円=388,570円(年額)
月額にすると32,380円です(388,570円÷12ヵ月)
退職から2年間の国民健康保険料の見込み額
以上の通り、私の退職後の国民健康保険料(世田谷区)を試算しました。
任意継続保険料(月額45,346円)と比較するため、任継加入可能期間である2年分の国民健康保険料を試算した結果、下表のとおりとなります。
対象期間 | 保険料 (年度額) | 保険料 (月額) |
---|---|---|
退職 初年度 2024/8~翌3 | 106万円 (8ヵ月) | 132,500円 |
退職 翌年度 2025/4~翌3 | 105.4万円 (12ヵ月) | 87,833円 |
退職 翌々年度 2026/4~7 | 13万円 (4ヵ月) | 32,380円 |
合計 | 224.4万円 (24ヵ月) | 93,480円 (月平均) |
ご覧の通り、国民健康保険料は年を追うごとに月額保険料がドカンドカンと下がっていきます。月額が毎年5万円ずつ落ちてますねー😉
なお今回は、世田谷区のWEBサイトで計算方法を確認し、手計算で国民健康保険料を試算しました。簡便な試算であれば以下のサイトが便利ですので、参考までにご案内します。
まとめ
- 国民健康保険料は「1.居住する市区町村」「2.国保に加入する家族の人数」「3.加入者全員の前年所得」の3つの要素で決まる
- 国民健康保険料は居住する市区町村の役所のWEBサイトで計算方法を見て試算できる(または国民健康保険料計算機のサイトで簡便な試算が可能)
- 国民健康保険は世帯単位で加入するため、家族の人数や家族全員の前年所得が保険料算定基礎となる
- 定年退職後は前年所得が大幅ダウンするため、国民健康保険料も年を追うごとに大きく下がる
- 任意継続保険料と比較するため任継可能な2年分の国民健康保険料を試算しておくことが望ましい
コメント