定年退職後の健康保険どうする?③(任意継続・国民健康保険ガチンコ比較)

ニューヨーク、セントラルパーク、コンサバトリーウォーター、2017年撮影

どーも!タツマルです🐲

定年退職後の健康保険は任意継続と国民健康保険のどちらを選択するか?

前回までの記事でそれぞれの保険料について詳しく見てきました。

いずれも私の実例として任継と国保の保険料を試算しています。

今回はその試算結果を踏まえ、両者をガチンコで比較します。

目次

任意継続 vs 国民健康保険 保険料比較

退職 初年度の比較

まずは私が定年退職した年度の保険料を比較します。

(2024年8月~翌3月の8ヵ月分保険料)

任意継続保険料
362,768円(月額45,346円)
😊まあまあお得だね!

国民健康保険料
1,060,000万円(月額132,500円)
😭クソたけー💦
※賦課基準額1328万円

ご覧の通り一目瞭然!任意継続の方が、圧倒的に保険料が安いです。国保のほぼ3分の1です、私の場合。

なぜここまで大きな差になるのでしょうか?

任意継続の月額保険料45,346円は、私が加入する健康保険組合の上限金額です。また、国民健康保険料の年額106万円は、世田谷区の上限金額です。

任継・国保のいずれも保険料上限に達しているにもかかわらず、これほどの大差がつくということは、やはり国民健康保険料が割高ということでしょうか?

念のため、私の2023年保険料支払い実績を確認したところ、年間85.4万円(健康保険料71.1万円+介護保険料14.3万円)でした。この年は退職前年で、勤務先健保組合の通常の被保険者でしたので、この金額は本人負担分のみです。会社負担分も合計した保険料総額は170.8万円となります。

この金額は、世田谷区の国民健康保険料上限額106万円をはるかに上回りますので、とりたてて国保が割高、ということでもなさそうです。(※2023年の健保組合保険料はその年の給与賞与により算定。よって退職初年度の国保賦課基準額と算定基礎は概ね同じ)

国保が割高でないとすると逆に「任継が割安」、という理屈になります。なにしろ私の場合、任継の保険料は国保の3分の1ですので。

すでに述べた通り任意継続保険料は、会社負担分も含め100%自己負担になるため、普通なら割高になります。ともあれ保険料の上限が設定されてますので、負担額が青天井で上がるわけではありません。

おそらく任意継続の場合、この保険料上限額が、定年退職者にとってかなり低い水準に設定されている、と考えられます。

なぜなら任継保険料上限額は、比較的報酬の低い若手社員等も含む、健保組合の全被保険者の平均標準報酬月額に基づき決定するからです。

その金額は、相対的に高給取りが多い定年退職者の標準報酬月額に比べるとかなり低い水準でしょう。

よって、定年退職間際の報酬(例月給与)が平均標準報酬月額を上回り、かつその乖離の大きい人ほど、任意継続が有利になります。

「むむっ!? つまり高給取りに有利な制度ってことかい?そいつはケシカラーン!😤」とご立腹の向きもあるかもしれませんね😅

ともあれ、いくら高給取りと言えど、定年退職してしまえば普通の人です。退職後2年にわたって高額な保険料を負担させるのは忍びない、ということなんでしょうねー、きっと。なにしろ任意継続保険料は2年間固定ですので。

ということで、定年時の標準報酬月額が、加入する健康保険の平均標準報酬月額を大きく上回る場合は、任意継続が国保よりもお得になる可能性が高いです

ちなみに私の場合、定年時の標準報酬月額は93万円、そして加入する健康保険組合の平均標準報酬月額は41万円ですので、まさにこのパターンに当てはまります。

退職 翌年度の比較

続いて、定年退職の翌年度の比較です。初年度は任継の方が圧倒的に有利でしたが翌年度はどうでしょうか?

(2025年4月~翌3月の12ヵ月分保険料)

任意継続保険料
544,152円(月額45,346円)
😁今んとこまだお得だね!

国民健康保険料
1,054,000円(月額87,833円)
😫まだまだたっけ~💦
※賦課基準額718万円

結果は相変わらず、任意継続保険料の方が圧倒的に安いです。国保のほぼ半額です。したがって退職翌年度も、引き続き任意継続する予定です。

わりと一般的には、「定年退職後1年間は任意継続し、2年目から国民健康保険に切り替えると良い」みたいなことが言われています。

その理由は、「定年直後は直近の高い給与所得をベースに国民健康保険料が決まるので、任継の方が安くなる可能性が高いけど、2年目は収入が無くなる(激減する)ため、国保の保険料が大幅に下がるから」というものです。

ともあれ実際は、私のように退職2年目でも国保の方が保険料が高いケースも十分あり得ます。

結局それは、退職月次第なんです。

例えば年度末(3月末)退職の場合は、退職後1年間の国民健康保険料は前年1~12月に支払われた給与賞与が算定基礎となりますが、2年目になるとその前年1~3月(退職月)のわずか3ヵ月分の給与が対象です(他に所得が無ければ)。よって2年目の国民健康保険料はガクンと下がるでしょう。

一方、私のように7月末退職の場合、退職初年度(8~3月)は前年1~12月の給与賞与が算定基礎ですので上記と同様ですが、翌年度(4~3月)については前年1~7月(退職月)の7ヵ月分の給与賞与が対象となります。つまり2年目の保険料算定基礎が3月末退職よりもかなり多くなるため、国民健康保険料は高めに推移する、ということになります。

また退職月(つまり退職年の所得)以外にも、保険料率や上限額の改定等により保険料は変動します。ですので任継と国保のどちらの保険料が安くなるかは、その都度実際に計算しなければわかりません。

必ずしも、退職2年目になれば国保の保険料が任継よりも安くなるとは限りませんので、ご留意ください。

退職 翌々年度の比較

任意継続は最長2年ですので、私の場合2026年7月まで加入できます。ついては定年退職の翌々年度である2026年4~7月の4ヵ月分についても保険料を比較しました。

退職初年度、翌年度とも任継の方が国保よりも保険料が圧倒的に安い!という結果でしたが、翌々年度は果たしてどうなるでしょう?結果は次の通りです。

2026年4月~2026年7月の4ヵ月分保険料

任意継続保険料
181,384円(月額45,346円)
🤔むむっ?やられた?

国民健康保険料
129,520円(月額32,380円)
😉ついに逆転だぜーい!
※賦課基準額162万円

ここにきてようやく国保の保険料が任継を下回りました!

前年の収入が企業年金310万円のみ(→賦課基準額162万円)で計算しましたので、さすがの国民健康保険料もだいぶ安くなるようです。

3年度分の保険料比較

ということで、定年退職からの2年間について、任意継続と国民健康保険の保険料を年度ごとに比較してきました。全体をまとめると下表の通りです

対象
期間
任意継続
保険料
国民健康
保険料
2024年
8~翌3月
(8ヵ月)
月額45,346月額132,500
2025年
4~翌3月
(12ヵ月)
月額45,346月額87,833
2026年
4~7月
(4ヵ月)
月額45,346月額32,380
任意継続・国民健康保険料 対象期間別 保険料月額比較

以上の保険料比較を踏まえ、私は定年退職時に勤務先の健康保険で任意継続の手続きをしました。現時点では、2026年3月まで任意継続し、その後国民健康保険に切り替えようと考えています。

なお、以上はあくまでも現時点での想定による試算です。もしかすると来年以降の所得が動く可能性はありますし、保険料算定基準(保険料率や保険料上限)は毎年見直しが入ります。

よって、年度が変わる前(遅くとも3月中旬まで)に、次年度の任継・国保それぞれの保険料を最新の状況で試算したうえで、任継・国保いずれを選択するか検討します。

任意継続 その他のメリット

「保険料が国保よりもすこぶる安い!」という理由で、私自身は任意継続を選択することとしましたが、任継のメリットは他にもあります。

保険給付

健康保険の給付のうち、最も利用される「療養の給付」つまり保険証提示による医療機関での費用負担は、任継・国保のいずれも3割負担で変わりません。

ともあれ任意継続には次のようなプラスアルファの給付があります。

【人間ドック費用補助】
在職中と同様、毎年1回の人間ドックを無料(または安い費用負担)で受診できます。本人のみならず家族も同様です。国保の場合も健康診断補助はありますが自治体によって内容が異なります。

【付加給付】
組合健保の場合、国保にはない独自の付加給付金が支給されるるケースがあります。特に大手企業グループの健保組合は、高額療養費の自己負担限度額が低かったり、上乗せ給付があったりするようです。

加入要件(時期や期間)

また任意継続は国民健康保険よりも、加入の時期や期間に制約があります(下表の通り)

区分任意継続国民健康保険
加入時期退職直後のみ退職直後または任継から脱退するとき
加入期間最長2年期間の制限なし
切り替え2年以内にいつでも国保への切り替えが可能。2年満了後は国保へ切り替えを要する国保から任継への切り替えはできない

つまり任継は国保よりも加入のチャンスが少ない、というわけです。任継から国保への切り替えはいつでもできますが、国保から任継への切り替えはできません。

結局、遅かれ早かれ国民健康保険にいずれは加入することになるわけです。ですので保険料が大差なければ、任継を軸に考えるのもひとつだと思います。

まとめ

  • 定年時の標準報酬月額が、加入する健康保険の平均標準報酬月額を大きく上回る場合は、任継の方が国保よりも保険料が大幅に割安になる可能性が高い(私はこれに該当。任継保険料は国保の3分の1!)
  • 定年退職2年目は国保の方が保険料が安いと言われるが、退職月(退職年の所得)によっては任継の方が安くなる場合もある(7月退職の私の場合、退職翌年度も任継保険料は国保の半分!)
  • 定年退職の翌年度・翌々年度の保険料試算はあくまで現時点の想定によるもの。来年以降の所得や保険料率・上限額が変わる可能性があるため、次年度スタート前に改めて保険料を試算する必要あり
  • 任継の方が保険給付も概ね有利(人間ドック補助、付加給付金)。また国保はいつでも加入できるが任継に加入できるチャンスは少ない(退職後2年間のみ)。よって保険料が大差なければ任継を軸に考える
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